遠野阿曽沼氏
舘と舘主、その光と影

上郷町の城館跡

林崎舘
舘熟知度 V 舘規模 B 遺溝保存状況 C
難易度 U   その他
  舘(城)名 林崎舘(はやしざきだて)  
  所在地 岩手県遠野市上郷町細越   比高19m
  現存遺溝 平山城  一部空堀跡   腰郭    
関連諸氏・人物 細越惣兵衛
築年代・使用年代 天正年間前後
  その他
林崎館
森下館
糠森館
赤羽根館
馬見館
平倉館
平野原館
刃金館
板沢館
石ヶ森館
大寺館
来内館
太田館
赤沢館
駒込館
攻城記及び城館跡の概要
 2003年4月、遠景のみの撮影と東側農地から眺めたのみ。

 2006年5月2日

 遠野郷館めぐり春の陣と称して八戸市在住の城郭研究者、睦月庵氏の来訪を受け、城館跡探訪二日目の最初に訪ねたのが、この林崎館でした。

 朝8時30分、睦月庵さんが宿泊の旅館福山荘にお迎えにあがりましたが、前日の城館跡探訪の疲れ、夜遅くまで懇親会を催したにも関わらず、いたって両者共元気、本日は比較的山登りの少ない平山城を主としてのご案内予定、早速市内上郷町の林崎館の突入となりました。

 林崎館も実は場所の特定はしながらも私自身、まだ足を完全に踏み入れていた舘跡ではありませんでした。
 東側の段差のある農地(畑)付近から眺めただけというなんともいい加減な内容でもありますが、兼ねてから舘跡入口と目星をつけていた北西側(国道340号線沿い)の農地から進入を試みました。
 
 笹竹が生い茂る窪んだ道らしき跡を少し上りますと、開けた広い草地に到着、ここが主郭か・・・と思わせるような雰囲気がありましたが、ただ広いだけ、今まで見てきた遠野の城館跡とはかなり異なると思いながらもまずは四方八方に移動してそれらしい痕跡を求める行動となりました。


○館の概要

 北西側の農地から進入、近年につけられた道か、それとも城館への通用口なのか、笹竹に覆われてはいるが割りとしっかりとした痕跡が認められる。
 郷土資料に空堀跡が道として利用されていると記述があったが、堀跡の可能性も濃厚か・・・。

 登りはじめて間もなく、山野頂上に到着、北側が狭くなっているものの南、東南部は開けた平地で草地、一段低くなって畑となっている。
 この平場に限っては南北100メートル、東西65メートルで、東南側に2段からなる段差が確認されたが、ほとんど畑となっている。

 さて、この平地であるが、西、東は山野に囲まれているが、真ん中の部分をくり貫いたような地形、というよりも掘り下げた地形でもある。つまり、両側のみ残して盆状に削った地形である。
 この工作は築館された中世の頃なのか、それとも近世或いは近年に施されたものなのかは不明ながら、農地として活用されている点を考慮すれば近年に重機等を導入して開拓されたものだろうと思われますがいきさつ等は不明である。
 
 東、西の山野はこの平地より7〜8メートル高所であるが、今回は西部分を探訪、帯郭らしい形状が2段、さらにかつては空堀かと思わせる溝が北から南方向に2段確認され、どうやら我々が進入路とした道跡から続いている雰囲気でもある。

 また北方面は東側の山野が傾斜しながら続いているものの、切通しとなって切断されている。
 かつてはつながっていたものと思われるも、こちらは城館であったという痕跡は確認できなかった。

 簡略図も添付いたしますが、遺構等の残存度が低いため、どのような姿の館であったかはわかりません。
西側の斜面・・・段状の形状が確認できる 空堀跡と思われる進入路
平地・・・東南方向 平地・・・東方向
北側部分 西側帯郭
西側帯郭から頂部を眺める 西側の空堀跡と思わせる形状
右上の拡大画像 北西方面を望む
林崎館主細越氏

 林崎館主は細越惣兵衛と伝えられている。
 細越氏は多田氏系の一派で、南北朝の頃に遠野へ入ったのではと私は考えておりますが、南北朝争乱という混沌した時代、南朝方のテコ入れ対策として、菊池氏やら多田氏といった南朝派の武士が気仙郡、閉伊郡、和賀郡等に入ったことが細越氏のはじまりではないだろうかと推測しております。

 天正年間の細越氏は細越惣兵衛、与惣ともいわれるが、遠野孫次郎(阿曽沼広郷)が江刺氏の内訌に乗じて江刺氏を攻めた際、遠野勢は利あらず、陣を引き払い退却するが遠野勢の殿軍を努めた細越与惣は討ち死にしたと語られる。
 男子のなかった細越氏は平清水与三郎(菊池平十郎景光の三男)を養子と迎え、細越氏を継承したと伝えられる。
 多田氏系の細越氏はこれより菊池氏系の細越となったのではないのか・・と思われます。

 細越氏の関連館としては他に上郷町内に森下館(細越与三郎敏広)が散見される。
 いずれ細越地区全域に細越氏、平清水氏の一族が居たことが語られている。

 林崎館は後に停廃されて細越氏の居舘は森下館に移行したものと推測される。
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